さかこどQ&A
発熱について
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Q1
体温が40℃近くもあって心配です。
脳に障害が起こりませんか? -
A
体温が高いだけでは脳に障害はおこりません。
ただし稀に高熱を出した子どもの脳に障害が残ることがあります。そのほとんどの場合の原因は脳炎や脳症、髄膜炎といった脳に直接影響のある病気です。これらの病気と風邪などは熱の高さでは区別できません。全身状態、意識状態などの評価が必要です。
- Q2 解熱剤は座薬と飲み薬でどちらがよいのですか?
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A
どちらも効果は同じです。
座薬の方が早く効果がでるかもしれませんが、大きな差ではありません。3歳以上は座薬を嫌がることが多く、抵抗すると力も強いため一人で座薬を挿入するのが難しくなるので、飲み薬が好まれます。0歳〜2歳では投薬に便利なため座薬を希望されることが多いですが、飲み薬でも構いません。
- Q3 どうして風邪をひくと子どもは熱を出すのでしょうか?
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A
発熱は生体防御反応の一つです。
病原体(ウイルス、細菌)は熱に弱いので、熱を出すことによって病原体が増えるのを抑えて早く病気を治そうとします。発熱は生体防御反応の一つです。
- Q4 解熱剤は使ったほうがよいのですか?
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A
発熱の期間が短い場合は使っても使わなくても大差はありません。
38.5℃以上で高い熱でつらそうなとき、間隔を6時間以上あけて、1日2回までの範囲で使用できます。発熱が4日以上続く場合で水分や食事の摂取が不良な場合は積極的に解熱剤を使用した方が良いでしょう。高熱のときに寝付きがよくなる子どもと眠りが浅くなる子どもがいます。眠りが浅くなる子どもさんが高熱の場合、寝る前に解熱剤を使うと親子とも睡眠が取りやすくなるため有益だと思います。
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Q5
熱性けいれんが怖いので
解熱剤を使って熱を下げた方がよいでしょうか? -
A
解熱剤は一時的に熱を下げますが、予防効果はありません。
熱性けいれんを予防するために解熱剤を使う必要はありません。熱性けいれんを心配される方は、発熱した時のためにけいれんした時の対応法について予習しておきましょう。何度か熱性けいれんを起こすお子様には、抗けいれん薬の予防投与が勧められます。また、解熱剤を使うと熱が上がったり下がったりするので、かえって熱性けいれんを誘発するのではと心配される方もおられますが、これも熱性けいれんには関係しません。熱性けいれんを心配するために解熱剤を躊躇する必要はありません。
- Q6 体温が高い時の服の着せ方はどのようにしたらいいですか?
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A
まだ会話ができない乳幼児については保護者が子どもの状況を観察し服の着せ方を考えてあげなければいけません。体温(または脇の温かさ)と手足の温かさ、汗の有無などのチェックが大切です。体温計の示す体温は同じ高熱でも対応が大きく異なります。
高熱があるのに手足が冷たい場合、体全体としては熱が不足しており、本人は寒気を感じている可能性が高いです。発熱が始まった頃に起こりやすい状態です。その場合厚着をさせたり布団をかぶせたりして保温をこころがけましょう。
高熱があり手足も温かいときはそのままの服の着せ方でよいでしょう。
高熱があり、手足が温かく、汗もでている場合や頬がほてって赤いような場合、体全体の熱が過剰となっており熱を逃がしたいと考えています。発熱の初期状態が過ぎた頃に起こりやすい状態です。1枚服を脱がせるなどして体温の放熱をさせやすいようにしましょう。
- Q7 解熱薬が効かなかったので心配です。
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A
解熱剤を使用後体温が数時間程度1℃下がれば十分です。
それ以上強力に熱を下げようとするとかえって病気の治りが悪くなる恐れがあります。解熱剤使用後に体温が下がらなかったり、2℃以上下がる事もありますが、体温が上がりかけまたは下がりかけの時にしていたのかもしれません。何度か使って平均1℃程度解熱すればちょうどいい効き目と考えられます。
- Q8 子どもが熱を出したときにお風呂に入れてよいでしょうか?
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A
子どもが熱を出していても入浴させてよいと思います。
自宅にお風呂があり暖房器具があるという前提において、子どもが熱を出していても入浴させてよいと思います。夏場は湯冷めもしにくく汗による皮膚トラブルが多いので、毎日欠かさず入浴させましょう。冬場は汗のトラブルは少ないので、入浴を1日省く程度であれば問題ないと思います。
高熱のときは体温を調節する能力が落ちます。気温が冷え込んでいない時間帯、解熱剤使用後など体温が落ち着いている時間帯などを選び、できるだけ浴室や更衣室を暖かくしておきましょう。入浴する時間も短時間とし、入浴後も湯冷めをしないよう気をつけましょう。
- Q9 冷却シートは使った方がよいのでしょうか?
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A
医学的には冷却シートを使うメリットはありません。
本人が貼ってほしがる場合、使っても大きな問題はありません。ひんやりして気持ちがいい、という効果であり、体温を下げる効果はありません。(体温を下げる効果を期待して?)そけい部(脚の付け根)や脇の下に貼られる方もいますが、その部位ではシートからの放熱もしにくく、シートの使用部位としては不向きでしょう。一時的に熱を下げて楽にしてあげたい場合、解熱剤を使用するのが一番合理的と考えられます。
- Q10 体温計の選び方を教えてください。
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A
脇の下で測る予測体温計がお勧めです。
体温計には実測式、予測式、非接触式の測定器具があります。実測式の代表がかつてよく用いられていた水銀体温計です。デジタルと異なり感覚的に温度の高さを把握しやすいメリットもありますが、測定時間が10分かかるというのがじっとしていられない子どもには不向きです。
予測式は体温計測定部の温度の上昇の経過から10分後の温度上昇を予測して算定する方式です。落ち着きのない子どもには向いていますが、測定時間中は測定部位を動かさないようにしないと誤差が生じます。実測式は実際の体温より高く表示されることはほとんどないですが、予測式体温計は実際の体温より低く表示されることもありますし、高く表示されることもあります。
非接触式体温計は赤外線などをあてて体温を測定します。価格は高めですが、2秒程度で測ることができるスピードは圧倒的です。耳で測るもの、額で測るものがあります。耳で測るタイプは誤差が大きすぎるためお勧めできません。子どもの耳の穴は細く、耳垢が詰まっていることも多く、鼓膜に赤外線を当てることは難しいのだと思われます。額で測定するタイプもお勧めできません。室内にずっといる場合は概ね正確ですが、外出してから測定すると外気温の影響をうけて額は冷たくなっていますので体温を反映しません。
- Q11 体温測定の注意点はありますか?
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A
体温測定と保護者が手で触って判断を組み合わせることが重要です。
体温計による子どもの体温測定は客観性には優れますが、測定にそれなりの手間がかかることと誤差を生じることがある(きちんと測定できないことがよくある)という短所があります。
手で触って発熱の程度を把握するのは一瞬で判断できるので繰り返しチェックができます。大きな誤差は生じにくいです(手の感覚は優秀で0.5℃以上の温度差があればだいたい気がつきます)。保護者の手の温度、保護者の発熱への不安による誤差を生じる事があることと、客観性に劣る(人に伝えるのには向いていない)という短所があります。
それぞれ一長一短があるので、上手に組み合わせれば完璧です。触った感覚と体温計の温度が合わない場合再測定しましょう。再測定して同じ結果であれば体温計の測定温度が正しい可能性が高いです。温度のばらつきが多ければ上手に測れていない可能性が高いです。
脇の左右で測定温度が異なると言われることもあります。0.5℃以上の体温の差は手で比べると分かります。手で触って比べてみましょう。手で触って左右の差を感じなければ片方が上手に測れていなかった可能性が高いです。やはり触っても温かさに左右差があれば、温かい方で測定するとよいでしょう。
こまめに本人を触って大まかな体温の経過を把握し、体温測定は1日3回程度、触って熱くなったとき、発熱が治まってきたときなどに診察の時に伝えるために測定し、熱型表に記録して持参していただけると、診断およびその後の経過の判断にものすごく役に立ちます。